野外で映画、そんな時代もあったよ。

幼少期に過ごした家は
100棟程建ち並ぶ集合団地のひとつだった。
1棟に10世帯から20世帯が住めるタイプの
団地が集合してるもので中にマーケットや
診療所も混在しているマンモス住宅群だ。

時代は高度成長期。
右肩上がりの経済にまかせて人口は増加、
似たような団地群が地域の何処も彼処もと建ち並び、
この集合団地も特に珍しいものじゃなかった。

子供の数もそれに比例して多かったわけで
自治会もシーズンごとに子供用行事を盛んに行っていた。

そんな中でも特に好きでよく参加していたのが
「屋外シネマ」。平たく言えば野外上映会だ。

夏祭りの前後あたりになると「子供映画会」と称して
薄暗くなる夕方、団地の集会所の壁にスクリーンを吊るし始め
子供が喜ぶような内容の映画を何本か上映した。

また、上映される1、2時間前に「ぽん菓子屋さん」がやってきて
家からお米を持っていくと例の爆発する機械で
(これが見てると飽きなかった)
大きなビニール袋いっぱいに作ってくれるのも楽しみのひとつだった。
今考えると信じられない安値で売ってた気がする。
お米は自分の家のものだったしね。

ポン菓子が袋に入りきらず御座の上に散らばると
作ってる職人さんがそれを見てる小さな子供達に
ただであげていたので上映される頃には50人前後の子供達が
集まったものだ。子供っていつの時代も卑しいな(笑。

それから知らない子供同士が仲良くぽん菓子をほおばりつつ、
集会所のまわりにある芝生の上に座って東映
「長靴を履いた猫」だの「太陽の王子ホルス」だのを楽しんだ。

なぜそんな古い映画なのかというと無料上映だったからだと思う(笑。

あと、思い出せる作品で実写版の「アルプスの少女」もあった。
たぶんアニメのハイジが制作されるより昔の作品じゃないかな?
英国あたりの少女がハイジを演じてて、
フランクフルトの雰囲気ある建物とかアニメのハイジにも通じる
美しい景色がいっぱい映っていてすごく気に入った。

他にも「赤毛のアン」の実写版など、いわゆる名作物の映画を数多く
上映してくれて今でも懐かしく思い出す。

あの頃上映した映画も今はDVDになってるかもしれない。
でも星空の下みんなで見た映画は普通の映画館とは違う
開放的空間の中で感動を共有してる不思議な連帯感があった。
自分が映画好きになった原点は案外こんな所からかもしれない。
今は少子化でこういう行事も減ってきてるらしいからちょっと淋しいね。

ちなみにちゃんとお金払って見に行った最初の映画は「フェーム」。
内容はブロードウェイ演劇学校の生徒の日常を描いたもの。
招待券もらって見に行った最初の映画は「名犬ラッシー」。
同時上映は「ルパン三世 ルパンVS複製人間」(爆。
年バレバレの話だな、もういいねん(笑。