アビエイター〜レオとスコセッシが企んだもの〜

先日観にいってまいりました。「アビエイター」。

実在の人物「ハワード・ヒューズ」の生涯の中で
もっとも輝かしい時代を切り取って、
彼の飛行機にかける狂おしいまでの情熱と心のひだを
ディカプリオがなりきって演じています。
監督は先の映画「ギャングオブニューヨーク」でも
コンビを組んだマーティン・スコセッシ

この映画でディカプリオはゴールデングローブ賞を受賞し、
初のオスカーを手にするか、と期待されましたが
残念ながらこちらはとれませんでしたね。

この映画の中のディカプリオを見ていると
まだほとんど無名だった彼を天才子役といわしめた
ギルバート・グレイプ」という映画を思い出しました。

演技が半端じゃなく凄みあります。

ただ、残念なことにあの頃と違うのは
彼はもはやフェイマスになりすぎてしまったこと。

どんなにすばらしい演技をしていても
あの個性的な顔が災いして、どうしても彼を
ハワード・ヒューズと思い込むことができなかった。
哀しいかな、演技が凄みを増せば増すほど
ディカプリオ本人の顔が前面に出てしまうという皮肉さ。

彼が毛嫌いしたあの「タイタニック」の方が
彼自身が役柄に溶け込んで見えたのは、
その人物に個性がうすかったことも
一つの要因かもしれません。

ふしぎなことに、彼が好んで演じる人物の多くは
激しいまでに個性的な人物ばかりで、そのどれもが
とても凄みがあるのですが、やっぱり、そこに
ディカプリオが見えてしまう。
見てるほうまでジレンマを感じてしまうほどに。

なんとなくオスカーを逃した原因が
そこにあるように思えてしまうのは
自分だけでしょうか。

にしても、「アビエイター」は一見の価値ありです。
ただ、面白おかしく創った映画ではないので、
後半はかなりヘヴィな内容を含んでいますが、
いきなりエンドロールが流れても文句は言わないでね。
そこはスコセッシクオリティですから(笑。